私の思考や嗜好の指向を決定付けた至高の存在こそ筒井康隆。その筒井さんの短編集を紹介してみますよ。
 この本には表題作を筆頭に9篇が収められています。

・バブリング創世記
 ドンドンはドンドコの父なり。ドンドンの子ドンドコ、ドンドコドンを生み、ドンドコドン、ドコドンドンとドンタカタを生む。で始まる、まあ聖書のパロディなんでしょうなあ。最後はきちんと(?)森羅万象有象無象すべて地に充ちたり。となります。
 とにかく、圧巻。筒井さんをキチガイと思う人はこれだけしか読んだことが無いのかな。逆に言えば、こんなの書くのはキチガイだ。

・死にかた
 スプラッター。オニにより次々と金棒で殴り殺されていく社員たち。しかしその死にかたは多岐に渡る。
 もし同じ局面に遭遇したら、あなたは誰のような行動をするでしょうか。私はたぶん四家か六本木ですね。

・発明後のパターン
 ある意味で究極の、発明モノのショートショート。星新一ファンにはぜひ読んでいただきたい。
 まさに発明後のパターン。チャップリン映画の「サーカス」の冒頭に出てくる演説みたい。

・案内人
 案内人の薄気味悪さと次はどんな目に合うのかというスリル。「なあに、命まで貰うとはいわないよ。けけけけけけ」
 意地悪いよなあ。「入っていったやつがいるとは言ったが、出てきたやつがいるとは言わなかったぜ」なんて。
 
・裏小倉
 百人一首のパロディ。原点と付き合わせて見ると楽しさ倍増。
 中にはははははは ははははははは ははははは ははははははは はははははははなんて投げやりなものもありますが。

・鍵
 鍵に導かれて、開く扉は己が過去。失った過去ではなく目を背けてきた過去との対面。角川ホラー文庫で出版された筒井さんの短編集の表題作でもあります。
 読み返すほどに怖くなる作品。過去に追われるって、怖いね。

・廃塾令
 廃塾令の背景と施行後の社会をテレビ番組風に。
 塾通いしたことないから笑えるのかな。
 
・ヒノマル酒場
 酔っ払いとマスコミ不信に満ちたヒノマル酒場に舞い込んだ宇宙人の運命やいかに。
 そりゃいきなり入ってきた奴を宇宙人だと信じるのは無理だよなあ。仲間同士でいればなおのこと。にしても行動が極端だなあ。そこが魅力でもあるんだけど。

・三人娘
 女のいじめは陰湿ですよ。おお恐ろしい。
 こんなのばっかり読んでれば、そりゃ女と付き合いたい気なんか育ちませんよね。

 ・・・ネタバレのことを意識し過ぎると駄目だね・・・。とにかく一読をオススメしますということで今日はオシマイ。

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